研修終了後、奈津子があたしのそばに走ってきた。

「ちょっとー！尚美さん、メール見ました？」

「え？あぁ、電源切ってたからさ。何、アンタ研修中に送ったの？」

あたしがとぼけて尋ねると奈津子は舌をペロッと出して言った。

「だって、どうしても尚美さんに言いたかったんですもん。前にいた内務次長、なんて人だったか、もう名前も忘れちゃいましたけどね」

あー…
そうだろうね…。
基本、あたし達とは関わり薄い立場の人だから。

だったらそのまま忘れててくれればいいのにさ。
なんで思い出しちゃうかなー。

「あたしに言いたいって、何を？」

「だからー！あのメガネの内務次長とは、比べものにならないくらい分かりやすく説明してくれたじゃないですか！」

「ああ…そうだね」

あたしは内心で思ってる事とは裏腹に、奈津子に同意してみせた。