黙り込むあたしをチラチラ見ている氷メガネの視線を感じたけど、あたしは気づかないふりをしてずっと窓の外を眺めていた。

「尚美…。ありがとな…」

急にあたしにお礼を言う氷メガネに驚いて振り向いてしまった。

「何…が?」

「うん…おふくろの事…。きっと喜ぶよ」

あ、そうね、貴和子さん、きっとすごく喜んでくれるに違いないわよ。
そう思わなきゃ、あたしもあんな提案しないしさ。

「それと…」

ん?
まだなんかあんの?

あたしが次の言葉を待っていると、一度振り向いて「あっち向け」と言う。

「なんでよ?別にいーじゃん、見てても」

あたしが刃向うと氷メガネが耳を赤くする。

こうなる時は照れてる時。
でも、なんで?
どこに照れるポイントがあったっけ?

「だから…美緒…。義姉さんの事だよ…」

義姉さんって…アンタ…
どうしちゃったの?

「それが?」

あたしは言ってる意味がよくわからずに氷メガネに尋ねる。

「もう…なんでわかんねーんだよ!…いやわかるわけないか…。その…あれだ!お前のおかげで、ずっとモヤモヤしてたけど、スッキリした!だから…ありがとな!」

なんなの、それ?