「まぁ…。美緒さんがいいなら…俺は文句ないけど…」

氷メガネがいつもと違う様子で言う。
あれれ?
何よ、カッコつけちゃって。

もしかするとアンタ、美緒さんの前でいいカッコしようとしてない?
どーいうつもりよ、まったく!

「じゃあ、母さんにお願いしてみるけど…。ほんとにいいのか、兄貴?」

「ああ、美緒がいいなら、俺は何も言う事はないよ」

それからあたし達は、悠生さんが作ってくれたお菓子を食べてお茶を飲みながらたくさんお話をして過ごした。

あまり長居をして美緒さんが疲れるといけないから少し早めにお宅を失礼する。

帰りに美緒さんがもう少し大丈夫と言ってくれたが、こればっかりは念には念を入れておいた方がいいに決まってる。

何かあってからでは遅いから。
あたしは連絡先を交換して、いつでも相談してくれと笑顔で言った。

そして車の中であたしは気になっていた事を氷メガネに問い詰める。

「アンタさ。まさかと思うけど、まだ美緒さんに未練タラタラって事は、ないよね?」

「は?お前何言ってんの?バカじゃねーの?」

「違うならいい。ちょっと聞いてみただけだから」