「あの…悠生さん…。貴和子…いえ、お母さんに昼間、来てもらったらどうですか?」

あたしのいきなりの発言に驚く悠生さん…
そして…氷メガネ。

「お前…何だよ、空気読め、バカ!」

なんだと!
アンタに言われたくないわよ!
いっつもKYなのは自分でしょーが!

「なんで?だってそれが一番うまくいくじゃない」

「美緒さんはな、おふくろのせいでひどい目に遭ったんだぜ?それを許せるわけないだろ?ちょっとは考えろ、バカ!」

「何よ、さっきから大人しく聞いてりゃ人の事をバカ、バカって!そんな事は百も承知なの!それでも一人でいると危ないって言ってんのよ!アンタ何にもわかってないくせにエラソーに言わないでよ!」

あたしと氷メガネは悠生さんと美緒さんがいるのも忘れ、いつもの調子で言い合ってしまった。

その時美緒さんがそんなあたし達を宥めるかのように口を開く。

「あ…あの…敏生くん。心配してくれて嬉しいけど…もう、恨んでないのよ?この前の事悠生から聞いたの。お母さんがとても後悔してるって。それに今、お母さんは敏生くんと一緒に住んでて、尚美さんとも飲み友なんでしょ?それだったら、何も心配する事ない。
むしろ、お願いしたいんだけど…ダメかな?」

飲み友…
間違いではないけど…。
悠生さん、それも美緒さんに言っちゃったんですね…。