「はじめまして…。飯田尚美と、申します…。あの…」

言いよどむあたしのかわりに横から割って入った氷メガネが説明した。

「俺の婚約者です。具体的にいつ結婚するかは決めてないけど、するならコイツしかいないんで」

あのねー…
アンタってば、恥ずかしい事を意外にサラッと言ってのけるわよね？
あたしの方が照れちゃうじゃない…。

美緒さんはとても嬉しそうに笑いながら言った。

「敏生くん、すごく幸せそうだね。そう思わない？悠生？」

「そうだな」

悠生さんも嬉しそうだ。

なんかいいわね、こういう雰囲気って。
でも…
あたしはなんとなく気になっていた事を聞いてみた。

「あの…初対面で失礼かなと思うんですけど…。もしかして…美緒さん…おめでたですか…？」

あたしの質問に美緒さんが顔を真っ赤にさせる。
やっぱり…。

「すごいな…。まだお腹全然目立ってないのになんでわかったの？」

悠生さんが不思議そうに尋ねる。

あたしは言っていいのかどうか迷ってしまった。
するとあたしの隣にいる氷メガネがまるで大した事ではないように言った。

「コイツは出産経験者だからな、わかんじゃねーの？」

氷メガネの言葉で、悠生さんと美緒さんの空気がなんとなく変わってしまったのがわかった。