何の問題もなければ大丈夫だけど、あたしみたいに問題を起こした職員は日頃の態度も査問委員会で検討の対象になるって自分で言ったくせに…

もう忘れてんの?
まだあたしより若いくせに、記憶力ないのかって。

そう思って言い返す事もできたけど…
また同じ過ちを繰り返したって仕方ない。

あたしは今度こそ前よりも高みを目指すって決めたんだから!
コイツにかまってる時間は無駄ってもんよ。

あたしはこれ以上氷メガネとバトルするのを避けるため、大人しく同意した。

「そうですね…。要はあたしが頑張ればいいだけの話ですね…」

「そういう事です」

なんとも後味が悪い思いで氷メガネが帰って行くのを見送ると、あたしはすぐに営業所へ戻り帰る仕度をした。


車の中でタバコを一本吸った後眞子に電話を入れる。

『もしもーし。飯田さん、久しぶり』

眞子は久しぶりとは思えないくらい普通に電話に出た。

「すみません、突然。その節は大変お世話になりました。ずっと連絡しないでいて…申し訳ありませんでした…」

あたしが挨拶すると眞子が言った。

『もう、そんな堅苦しい挨拶なんてやめてよ~!あたしと飯田さんの仲じゃん!』

「スミマセン…。実はちょっとお話したい事があって…。今よろしいですか?」

『今まだM市にいるのよ。少しくらいなら話せるけど…。なんかあったの?』

あまり時間のなさそうな眞子の様子を察して、あたしはかいつまんで話をした。