お兄さんも不思議な顔で氷メガネとあたしを交互に見つめている。

「兄貴…ごめん。実は…俺、ちょっと兄貴に嫉妬してた…」

「俺に?なんで?」

再び黙った氷メガネに、今度は肘鉄ではなく言葉で説明する。

「カッコつけてないで全部話しなさいよ!
もしかしてアンタまさか、まだあたしより美緒…」

あたしがそこまで言いかけると、氷メガネは慌ててそれを遮った。

「わかった、わかった!言うから!全部ちゃんと言います!」

お兄さんは相変わらずキョトンとしてあたし達を見ていた。

「兄貴…。俺さ…ちょっと兄貴の…その…カノジョにさ。気になってたっていうか…」

「え?どういう事だ?お前まさか、美緒に惚れてたのか?」

ヤバい…
お兄さんがまたキレイな顔を歪めてる…。

「いや、違うって!そこまでは、思ってねーって!かわいいなって、思ってたくらいで…」

「んだと!?かわいいでも許せねー!」

あらら…
アンタ達兄弟って、二人揃ってドS?
仕方なくあたしが割って入った。

「あの!おにーさん!すいませんけど、それはもう過去の話で。今はあたしにゾッコンなんで、ご心配なく」