「なんだよ…。またアンタか…」

お兄さんは呆れたように呟く。

「そうよ。またあたしよ、残念ながら。悪いけどあたし、しつこいから。目的達成するまで何回だって来るわよ」

「何だと…?」

まー…
そのキレイなお顔をそんなに歪めちゃって…。
相当頭に来ていらっしゃるご様子ね。

「そりゃ確かにアンタからしてみれば、ヒドイ事されたと思っても仕方ないわよ。でもね、それぞれの立場になってみたら、仕方ないって事もあるのよ。そうやって頑なに拒否してるのは、アンタだってまだ過去を引きずってる証拠じゃないの!なんとも思ってないなら堂々と会って言いたい事言ってやりなさいよ!上から物申せばいいじゃないの!」

「部外者のアンタに、何がわかんだよ!?
人の家の事にいちいち口出しすんな!引っ込んでろ!」

グググ…
なんだって…部外者だと…?

あたしが思わず言い返そうとすると、聞き覚えのある声がした。

「悪いけどな、ソイツは部外者なんかじゃねーんだよ。俺の大事な人だ。だから兄貴にとっても、カンケーある人なんだよ」

「お…お前…敏生…!」

あれれ…
なんて素敵な登場なの…。
まるでヒーローみたいじゃない…。

うっとりと見とれていると、氷メガネはあたしの頭にポンッと掌を置いて言った。

「悪かったな、お前に全部任せっぱなしで」

あたしは思わず涙ぐんだ。