コイツ…
何をバカげた事言ってんだろう…。
話しするのもヤなんだけど。

氷メガネは更に追い打ちをかけてくる。

「ほら、またそうやって人をバカにしたような目で見るところなど。目つきが悪いのは、相変わらずですね」

あたしはとうとう堪忍袋の緒が切れた。

「アンタに…。アンタには言われたくないんだけど…。人の事バカにしてるのはどっちよ…。目つきが悪いのも、お互い様でしょ…」

言ってしまった…。
とうとう言ってやった。

あたしは再びコイツとのバトルが始まるのかと思うと気持ちが沈んだが、さすがにガマンも限界で。

まんまとコイツに煽られてキレるなんて…
あたしもまだまだよね…。

そして氷メガネは表情ひとつ変えずに言った。

「まあ…いいでしょう。今の言葉は聞かなかった事にします。…今度は何があっても辞めないで頑張って下さいね」

「誰かさんが大人しくしといてくれれば、大丈夫だと思いますけど」

あたしも負けずに言い返した。

「私が営業の事に口出しできないのはあなたもご存じでしょう?それに、あなた方の査定は契約件数と保険金の額から決まる評価の数字次第ですよね?私が何か言った所で、それがある限り安泰じゃないですか」

どの面下げてそんな事言うんだか…。
あたしが辞める事を決めたあの時、アンタもいたでしょーが…。