「尚美ちゃんも母親だものね。同じ母親として、やらなきゃいけない事はやらなきゃいけないもの。それがケジメだと思うわ、私も。
でもね…ひとつだけ、お願いしてもいい？」

貴和子さんはその大きな愛くるしい瞳をうるませながら、あたしに聞いてきた。

「なんですか？」

「尚美ちゃんも、一緒に来てくれない？あたし一人じゃ…心細くて…」

あー…
そーですか…。
まったくアンタ達親子は
そんなヘタレなとこまでソックリでいらっしゃること…。

「わかりました…。ご一緒させて、いただきます」

なんか組の姐さんにつき従う子分みたいね…。
姐さん、出入りですか！？って感じ？

そして再び悠生さんが勤めるお店のそばまでやって来た。
今度は氷メガネではなく貴和子さんの車で。
さっき氷メガネが車をとめた所が空いていて、そこへ止めて待つ。

「どうもネットの情報だと、お店が十八時までで、そこから色々やってたとしても、二十時には終われると思うんです。一番下っ端じゃなきゃ、もう少し早く終われるんじゃないかと思うんですけど…」

あたしはコンビニで買ったおにぎりや飲み物を広げながら、貴和子さんに説明する。

「ねぇ…。なんか刑事ドラマの張り込みみたいね？ワクワクしてきたわ…！」

いえいえ、そんな軽いノリじゃないですから…。
いや、むしろこれくらい軽いノリの方がいいのか！？