「ええ。実は急に来る事になったんで。貴和子さんにも、晴彦にも連絡しないですみません」

「そんな事はいいけど…。でも、何かあったの?敏生は何も言ってなかったけど」

「あの…ここんとこ、アイツ変じゃなかったですか?」

あたしの質問に貴和子さんがあごに手を当てて考えている。

「そう…ね…。そういえば…いつもより甘いものが減ってなかったわね」

え?
そこ…ですか?
ていうか、いつもどんだけ甘いモン食ってんだよ、アイツは!

「冷蔵庫にも冷凍庫にも、ストッカーにもお菓子やアイスクリームが残ったままだったから…、お腹の調子でも悪いのかしらとは、思ってたんだけど」

相変わらずお気楽なのね…
おかーサマ…。

あたしは意を決して今日の事を貴和子さんに話して聞かせた。
悠生さんの名前が出た事、しかも東京にいる事を聞いた貴和子さんは驚いて涙ぐんだ。

でもさすがに母親だ。
いくら泣いていても聞く時は真剣そのもの。
気丈にあたしの話を全てしっかりと聞いてくれた。

そして言った。

「悠生が敏生を恨むのは…誤解だと思うの。
敏生には悠生を陥れる気なんてなかったはずよ…。あたしはあの子に恨まれて当然だけど…。敏生には何の罪もない」

罪とまではいかないけど…
ちょっと美緒さんに横恋慕してたみたいですけど…ね。