DVD視聴が終わると、氷メガネは予告通り内容についての質問をしてきた。

…しかもそれは…
あたしと富美子の二人にだけ、集中的に…

あたしは以前の知識もあるからそつなく答える事ができた。
富美子が心配だったが彼女もきちんと答えていた。

絶対に答えられないだろうと思っていたあたしたちがなんなく答えた事で、アイツは更に機嫌を損ねたに違いない…。
これは今のうちに防衛線を張っておかないと大変な事になるかもしれない。

午後の講義が終了するのを待って、富美子の班のマネージャー、日比谷眞子に連絡を入れようと考える。

なんとかその後は問題なく講義を終える事ができた。

あたしは挨拶のあとすぐに部屋を出て、階段を下り営業所に向かう。
するといつの間に追いかけてきていたのか、後ろから聞きたくもない声が聞こえてきた。

「飯田さん。今回は随分と調子がいいみたいですね」

驚いて振り返ると案の定、氷メガネがメガネの縁を持ち上げながらあたしを見ていた。

「別に…調子いい事なんか、ないですけど…」

アンタのせいでね…、と言うのはやめておいた。

「そうかな?みなさん、あなたを崇拝しているように見えますが。しかもあなたもまんざらではなさそうだ。みんなに慕われて、さぞかしいい気分でしょうね」