そして二人で顔を見合わせ、コソコソとナイショ話を始めた。

なんなのよ、コイツらは…。
あたしは怒りをなんとか鎮め素知らぬ顔で並び続ける。

が、しかし。
その二人以外にもチラチラと氷メガネに視線を向ける女子が。

遠くの方からは、「ねえ、カッコよくない?」という声まで聞こえる。

そーよ、カッコいーのよ。
当たり前じゃない!
でもね、残念ながらこの人、中身は相当ヘタレだから。
今も一人じゃ来れなくてあたしが付き添ってんだから。

あたしは言えるはずのない事を心の中でつぶやきながら、知らん顔を続けた。

氷メガネは相当緊張しているのか、そんな外野のざわめきなど気づいてもいない様子だった。

そして少しずつ前へ進む人に倣って進むうち、少しだけ店の軒下に入る事ができた。
ガラス張りのお店の中も少しだけ見える。
ずっと奥の方に厨房があるようで、その厨房もガラス張りだ。
店内から中で作っているパティシエが見えるようになっている。

でもここからだと遠すぎて、中にいるパティシエの顔までは確認できない。
しかもパティシエは一人ではなく何人かいる様子だ。