そういう…事…。
アンタが泣き虫だったってのは意外だけど…

それは、氷メガネとお兄さんにしかわからない思い出よね…。
なんか兄弟愛溢れるエピソードに泣きそうになる。

でも…
敢えて弟との思い出のシュークリームを作ったって事は。
もしかしたらお兄さんも氷メガネに会いたいんじゃないの?

そう思ったあたしは、思い切って会いに行こうと氷メガネに言った。

でもいつまでも裸のままベッドでモゾモゾとしている氷メガネ。
あたしはすっかり準備が整ってるっていうのに、コイツはいつまでも。
まるで駄々っ子のようにシーツにくるまったままだ。

「わかった。あたし一人で行く。で、まず、お兄さんかどうかだけ確かめてくるから!」

あたしはそう言って部屋を出た。
アイツに構ってたらいつの事になるかわからない。
あたしは異様なほど熱い決心で全身が震えるほどだった。


エントランスの自動ドアを抜け最寄りの駅に向かう。
全く土地勘のないあたしだけど、携帯を握りしめて情報を見ながら行くつもりだった。