「大丈夫？あと少しの間、ガマンできそう？」

『…わかんねー…。けど、尚美に会えると思ったら…ガマンする…』

あーー！
もう！
かわいーヤツめ！

今すぐそこに飛んで行きたい！
だけど、いい大人で仕事を持つ社会人としてはそれはしちゃいけない事。
どれだけ会いたくても…
ここはグッと堪えるしかない。

あたしは後ろ髪をひかれる思いだったが、そこで無理やり気持ちを引き戻した。

約束通り週末の土曜、始発の飛行機で羽田に降り立つ。
出口の自動ドアを抜けた所にあたしの愛してやまない人がいた。

「尚美！」

いつも人目もはばからず抱き着いて怒られるから今日のあたしはちょっと冷静に。
おしとやかに手だけを振ってみた。

するといきなり氷メガネがあたしを抱きしめた。

「ちょ、ちょっと、アンタは！何やってるの、公衆の面前で！」

「うるせー！俺がこうしたいんだから、お前は黙ってろ」

なんであたしはダメで、アンタは許されるのかねー？
ま、あたしはいつでもウェルカムだからいーんだけど？