「男…いるじゃねーかよ…。矢部とか…近藤とか…黒津とか…」

って…
全員所長じゃんか!

「矢部所長は…もう大丈夫だったんじゃないの?アンタの誤解だって…わかったじゃない?しかも近藤所長も黒津所長も…研修以外ではほとんど会う事ないのよ…?」

「けど…アイツら全員結構なイケメンじゃねーか…」

「いや、確かに矢部所長は俳優の谷原〇介に似てるし、近藤所長は綾〇剛似だし、黒津所長も唐沢〇明っぽいよ?けど…絶対あり得ないから…」

「ほら見ろ…。全員イケメン俳優じゃねーか…。それに黒津のヤローはまだ独身だしな。あ、そういや、新しい内務次長の小泉…アイツも独身だぞ?」

小泉…?
あぁ…氷メガネの後任の内務次長ね…。
あたし、あんまし覚えがないけど…

そういえば奈津子が…
某アイドルグループの香取〇吾をちょっと華奢にしたような感じだって、言ってたな…。

「ほーら見ろ。やっぱイケてるって思ってんだろ…」

「バカ言わないでよ!アンタ以上に…イケメンなんて…いないわよ…」

「ムリするな」

「ムリなんて…してない…するわけないじゃない…」

氷メガネの腕が再びあたしを抱きしめる。

「だから…お前より俺の方がよっぽど…心配してるって言ってんだよ…」

少しだけ震えるようなその声が、氷メガネの不安をあらわしているようで…

あたしの頬に涙が伝った。