ここまで俺様じゃないコイツを見るのは初めてだった…。
あたしの事、そこまで心配してくれて…

「ごめんなさい…」

氷メガネに心配をかけているのが悔やまれて、思わずあたしも謝ってしまった。

「なんだよ…。謝れなんて言ってねぇって。思ってる事…言ってくれって言ってんだぞ…?」

「わかってる…。けど…あまりにもバカみたいな事なの…。いい年して言うような事じゃ…ないから…」

狭い軽自動車の空間は、氷メガネの長い手なら容易にあたしを捉える事ができて。
いとも簡単に両手の中におさめられたあたしは、再び泣いてしまった。

「どんなつまんねー事でもいーんだよ…。ていうか…お前が泣いてる時点で…つまんねー事なんかじゃねぇって…」

コイツの紡ぐ言葉が優しすぎて…
あたしは涙が止まらず…。
だけど…これ以上コイツに心配かけ続けるのは…
あたしにも辛いから…。

「あたし…あたしね…。アンタが、カッコよすぎて…心配に、なったの…」

「え?何?お前…俺がカッコいいから心配って…今頃気づいたのかよ?」

「だから…わかってたけど…なんだか急に…不安になって…」

「ったくお前は…、かわいすぎんだよ…」

氷メガネはそう言って抱きしめる腕を強めた。