だけど…
アンタが女に言い寄られてるんじゃないかと心配になったなんて…
いきなりすぎだし…
今更だし…

言える訳ないじゃない…。

アンタが…
カッコいいのが悪いだなんて…
恥ずかしすぎて絶対に言えないんだから…。

「俺…なんかお前に嫌な思い…させちまったか?」

さっきよりもさらに優しい声色で、その大きな掌をあたしの頭に載せる。

何か言わなきゃと思うのに…
何も言えずにただ泣いているだけの自分…。
子供よりタチが悪いわよね…ほんとにイヤになる…。

「尚美…ここで立ちっぱなしってのはアレだから…。とりあえず車に乗るだけ乗ってくんねーか?」

こんなに遠慮がちにあたしに聞いてくる事なんて、初めてだ…。
あたしもずっとこのままではいけないと思い、氷メガネの言う事を聞いて車に乗った。

するといきなり氷メガネが謝ってきた。

「ごめん!尚美!」

え…
何よ…いきなり謝ってきたりして…。

「俺さ…、いっつも大体お前の考えてる事わかってるつもりだったんだけど…。今日は全然わかんねーわ。なんかやっちまったんだろーけど…。何がいけなかったのか…だから教えてくんねーか?…頼む…」