ったく…なんなのよ…コイツのこの余裕っぷりは…
コイツに比べてあたしのなんと余裕のない事か…。

ハァ…
やっぱいい男と付き合うってのはラクじゃないわね。
なんやかんやと不安の種がそこらじゅうにゴロゴロと。
あたしがそんな事を考えながら落ち込みかけていると、氷メガネがサラリと俺様発言をする。

「別にいーぞ。見とれるくれーイケてんだから、俺」

いつもの調子で言い返すつもりが…
なんとなく言い返しそびれてしまう。

それはきっと…
不安がそうさせてるんだよね…。

よくよく考えてみれば、コイツとあたしって釣り合ってんのかな…?
どう考えても…
釣り合ってない…気…する…。

負のスパイラルに見事に陥ったあたしは、そのまま何もしゃべる事ができず。

うつむくと涙がこぼれてしまいそうだったから、ずっと窓から流れる景色を見ているふりをし続けた。

「尚美?どーした?酔ったのか?」

氷メガネが心配して聞いてきたが、「ううん、大丈夫」と覇気のない返事をしてしまった。

「おい。どーしたんだよ?さっきから変だぞ、お前」

だって…
なんだか急に心配になってきたんだもん…。

アンタが今、会社でどれだけの女性に囲まれて仕事してんのか、とか…
色々気になってきちゃって…
なんで今頃って感じなんだけど。
コイツがカッコいいなんて事は…
今頃わかった話でもないってのにね…。