だって…だって…

アンタがあんまり辛そうだから…
そんな悲しい顔見せられたら…
どーしていいかわかんなくなるじゃない!

「だって、ほんとにかわいそうだから…、お兄さんも、美緒さんも…」

アンタも…とは言えなかったが、お兄さん達の事を考え出すと切なすぎて思わず涙が出た。

「おい…。お前なー、兄貴の事でも泣くのかよ…」

「違う!お兄さんのためじゃない!美緒さんが…カノジョがどんなに辛い思いをしたかと思ったら…他人事とは思えないから…。だから…」

段々と止まらなくなる涙をぬぐう事もできず、運転し続けるあたしに氷メガネは言った。

「尚美。わかったから。どっかで車とめろ。俺が運転替わる」

え…でも…。
あたしが戸惑っていると、「そんなに泣いてたら危ねーだろーが」と笑いながら言って、優しくあたしの頭をなでた。

あたしは氷メガネの言う通りコンビニの駐車場に入ってから運転を譲った。
相変わらず運転する姿も素敵だわ…。

いつもの外車じゃなくてもあたしの軽自動車だって、運転する人が良ければよく見えるのね。

「何見とれてんだよ」

氷メガネがあたしをドヤ顔でチラ見した。

あらら…
バレてるし…。

あたしは恥ずかしくて照れているのを隠そうと、わざとつっけんどんに返した。

「別に見とれてなんかないし!」

「あ、そ」