あたしがそう言うと、祐実も笑いながら答えた。

「やっぱり、顔に出てましたね。あれは絶対に結婚できないタイプですって！
なんかすごい几帳面そうだし細かそうだし」

「いえてる」

あたしは笑いをこらえきれず、タバコをふかしながらニヤニヤしてしまう。
そして奈津子と祐実に言った。

「アイツは独身だよ。しかも結婚歴は一度もなし。祐実ちゃんの言う通りなんじゃない？やっぱりいろいろと細かいしさ」

奈津子と祐実はそれを聞いて、「やっぱりね～」と納得していた。

「もしかして男が好きなんじゃない～？！」

奈津子と祐実の妄想は止まらなくなっていた。

「あ、そろそろ戻んないと。十分前だわ」

あたしは慌ててタバコをもみ消す。
奈津子と祐実も、あたしにならってもみ消した。

「さっきのあれも、すごい嫌味でしたよね？尚美さんに言ってたやつ」

奈津子が朝あたしが注意された話をした。

「まあ…ね。でも確かに決められた事には従わないといけないんだよ。あたしたちの仕事って、信頼第一じゃん」

あたしの言葉に二人も納得していた。

時間は特に守らなければいけない最低限のルール。
お客様との約束ならば、尚の事だ。
一度でも約束を破れば、その後は信頼してもらえなくなってしまうから。