チラッと氷メガネを見るとあたしと目が合ってフッと笑う。

あれ…?
なんかバカにされているような…
そんな気がするのは…あたしだけ?

あたしの驚きなんて気にも留めていない様子の店員が涼しい顔で氷メガネに尋ねた。

「クレープシュゼットは、お連れ様のでございますか?目の前で仕上げを致しますので、サーヴに時間差ができますが、よろしいでしょうか?」

日本語なのに解読不可能な自分に焦る。

「ああ、結構です。私のですから」

ヤバくない?
そんなに食べちゃって?
あたしの心配をよそに、氷メガネはワクワクしている。

「ねえ…、大丈夫?食べ過ぎじゃない?」

「ハードな動きをしたからな」

はっ?
どーいう意味よ…
あたしはわかりやすく赤面する。

「この後もあるしな」

あ…そーですか。
あの…、すごくお元気ですよ、ね。

氷メガネの前には、真っ白な丸いお皿に盛り付けられた色とりどりのデザートたち。
そしてそれを見つめてニヤけている男…。

あたしの前にはコーヒーのカップだけ。

普通は逆だよね。
でも、これがあたし達には普通なんです。