フルコースを頼んだ氷メガネと対照的に、あたしはそんなにたくさん食べられないから魚料理のコースにした。

二人の料理は少しずつ内容が違うけど、あたしでも充分わかるくらいおいしいと思った。
あたしは氷メガネに途中経過を聞いてみる。

「どう…?」

氷メガネは、得意になる時のメガネを上げ下げするポーズをとりながら言った。

「オードブル、スープ、そして魚料理まで、今の所かなりのレベルだ。ここから肉料理、デザート…非常に楽しみだな」

よかった…
かなり気に入ってくれた感じね…。

そこであたしは唯一自分でもわかるパンの話を振ってみた。

「あ、でも、パン好きのあたしとしては、パンも外せない!すごくおいしかったよね?フランスパン!」

「そーだな。バターも手作りで」

へ…?
バターって作れるの?
酪農家でもないのに?

「今度作ってやるよ。ドライフルーツ入りのバターにしよっか?あ、お前白ワインとかロゼも好きか?ドライフルーツ入りのバターはちょっと甘目だからな。いつもお前とおふくろが飲んでる赤のフルボディとは合わねーかもしんねーから…」

一生懸命熱弁をふるう氷メガネをキョトンとして見つめる。

えーと…?
ドライフルーツっていうのはなんとなくわかるんだけど…
それがバターに入ってるって?