最後に祐実が「あたし、ちょっと多く買いすぎちゃったんで、もしよかったら食べませんか?」と言ってメロンパンを差し出した。

あ…  メロンパンだ…。
あたし、自分で言うのもなんだけど、結構見た目が怖い。
自分でそう思ってるわけじゃないけど、まわりに怖いって言われるからそうなんだろうって思ってるだけ。

でも、そんなあたしの大好物が意外な事にメロンパンなんだよね。
あたしとメロンパンはギャップがありすぎだから、誰にもカミングアウトしてないけど。

あたしは大好物を目の前にして、思わず表情を緩めてしまった。

「好きなんですか?」

ニヤニヤして、祐実が聞いてきた。

「ま、まあね。普通だけど…」

あたしの答えを聞いてもまだ、祐実はニヤニヤしていた。

「ありがと…。お金払うよ。いくら?」

「これからも、色々教えてもらいたいんで、お礼がわりにとっといて下さい」

「え…。そんなわけにはいかないよ。大した事教えられないし…」

何回か押し問答した末、結局もらってしまった。
食後再び喫煙室に向かう。
今度は祐実と奈津子も一緒だ。

全員で最初の一服をすると、祐実が切り出した。