あたしの心配事は、少しずつだけどいい方向に向かって行ってる。
富美子の事も…
もう心配いらない。

それに晴彦は無事念願の東京の大学に合格する事ができた。
学費は国立だからさほどでもないんだけど、やっぱり一人暮らしをするのにある程度の金額が必要になった。
だけどそれも氷メガネが自分に援助させて欲しいと言って譲らず。
あたしは気が引けたけど、結局甘えてしまった。
変に遠慮する方がイヤだって、アイツが言ったのもあるけど…。

晴彦が…
迷っているあたしの背中を押してくれた。

アレは晴彦の合格発表で東京に二人で行った時の事…。
無事合格した晴彦の労いとお祝いと称し、氷メガネのマンションでちょっとした宴会を開いた。

もちろん、料理は全部氷メガネの担当で。
あたしと貴和子さんはもっぱら飲み担当。
手際よく料理を作っては出してくれるアイツに遠慮もせず、あたしと貴和子さんはすぐにいい気分になった。

だけどあたしは貴和子さんよりは多少酒に強いから。
貴和子さんに合せて騒いではいたけど、頭は結構シャンとしてた。

だから…
料理を作り終えて晴彦と一緒にテーブルに座って話し込む氷メガネの声も…
ちゃんと聞いてた。