あたしはひとつひとつ丁寧に説明し、少し落ち着くまで結婚するのは待とうと提案した。

氷メガネは黙ってあたしの話を聞いていたが、最後は「わかった…」と言った。

珍しく反論してこなかったって事は…
アイツもあたしの言う事に納得していたんだと思う。

それに…
あたし達は少しくらい離れていても、会えなくても、大丈夫だって気がしてた。

そんなにあたし達の絆は、脆くない。
ちょっとやそっとで切れるようなそんな絆じゃないって…
思えた。

そうやって決めた後のあたし達は特にトラブルもなく順調だった。
一ヶ月に一回は、あたしか氷メガネのどっちかが相手の方へ会いに行く。

連休がある月はたくさん会えそうに思ったけど、あたしが営業という仕事上連休でもお客さんに合わせて仕事に出る時もあるから、いつも一泊しかできなかった。

それでも…
気持ちはいつも満たされていた。

ただあたしと違ってアイツは相変わらずで。

『お前、俺と仕事とどっちが大事なんだよ！？』

とか、

『お前、アポの相手男じゃねーだろーな？』

などと…まるでガキのような所はそのまんまだった。