あたしは反射的に氷メガネの方を向き「えっ!?」と言ってしまった。

ニヤニヤと笑うコイツの顔を見て、『コイツ、わざとだ!』と思った。

そして、再びフンッとそっぽを向いたあたしを後ろから抱きしめて言った。

「嘘…。そんなの俺が我慢できねーって…」

あたしは重大な契約を取れた後のような昂揚感に包まれていた。

きっと氷メガネも、お母さんにわかってもらえた事やお母さんの真の姿を知った事で、心が軽くなったに違いない。

その分お互いの感覚も過敏になっているようだった。

あたし達はもう何も邪魔される事がなくなった解放感も手伝い、飽きる事なくお互いを求めあった。

どうか今の幸福がずっと続きますように。
まだ乗り越えなければならない事柄は残っている。
でも二人で手を取り合って、ひとつずつ誠実向き合っていけば。
きっといい方向に向かってくれる。

そう信じて、頑張るしかない。

快楽の渦に呑み込まれそうになりながらも、あたしはそう、固く決意した。