「なんか…恥ずかしいけど…。やっぱり、お腹を痛めて生んだ子の事だから…。
香菜ちゃん…敏生の母親として謝ります。
こんな形であなたを傷つける結果になってしまった事、本当にごめんなさい。許せとは言わないわ。認めてくれとも言わない。どうしても許せないなら敏生を一発殴ってくれてもいいから」

一発殴るって…
母親がそれを言う？って気もするけど…
でもなんとなく、氷メガネのお母さんらしい…。

すると香菜さんはあたしが驚愕する事実を告げた。

「もう一発殴らせてもらいましたから」

へっ？
殴った…んだ…？

いつ？
全然知らなかった…。
アイツあたしにはそんな事、一言も…

お母さんは香菜さんの言葉を聞いて心底安心したように言った。

「なぁ～んだ、そうだったの」

笑いながら言うお母さんを見て、なんだかあたしの心も軽くなっていくのを感じていた。

やっぱり少なからず香菜さんには罪悪感があったから…
不可抗力だし、どうしようもないって事はわかってるけど。
もしあたしが香菜さんだったとしても、同じように辛い気持ちになっていたはずだから…。

そしてお母さんはそのまま氷メガネを振り返りながら言った。

「敏生、アンタキッチリ落とし前つけたんだね。意外とちゃんとしたとこあんじゃないの。見直したわ」