「なんでお前がいんだよ！？カンケ―ねーだろ！？」

あらら…
キッツイ言い方ね…。
しかも睨みつける氷メガネの目が…
怖いんですけど…。

でも香菜さんはまったく動じていない様子で。
さらに氷メガネを煽るかのようなセリフを吐いた。

「あら、どうして？婚約者のあたしがいるのは普通でしょ？敏生さんったら、こんな下賤な人とお付き合いしてるから折角の明晰な頭脳が鈍ったんじゃなくて？」

なんだって？
今、下賤って言った？
いきなりの言われようだわね…。

香菜さんがここにいる事は想定外だったけど、かなりの事を言われるのは覚悟の上だったから。
まずは序盤戦って事か…。

あたし達は香菜さんに案内されて奥へと進んだ。
いかにも重厚な扉を開けると煌びやかなシャンデリアが飾られ、まるでどっか外国の宮殿のような豪華絢爛な部屋が目に入った。

「おじさま、おばさま。おいでになったわ」

香菜さんはそう言いながら優雅にお辞儀をすると、いかにも高級そうなソファに座った。
あたしはどうしていいかわからぬまま、ただ氷メガネの後ろで立っていた。

「敏生、久しぶりだな。元気にしてたか？」

いかにもダンディなおじさま…。
この方がお父さん。

「ああ」

ぶっきらぼうに一言だけ返事をする氷メガネ。