そんな甘い物談義をしているうちに氷メガネはとある豪邸の前で車をとめた。

「着いた。ちょっと待ってて」

あたしはその家のあまりのデカさに愕然とした。
立ち並ぶ家々がみんな恐ろしいほどデカい。

田舎も土地だけは安いから上物も結構デカいとこ多いけど、こんな都会の土地が高い地域でこれほどの家は相当金持ちという事を物語っている。
その中でもかなりデカい氷メガネの実家。
そこら中に警備会社のシールが貼ってある。

氷メガネは車を塀に横付けして門扉のインターホンを押した。
すると誰の声もしないかわりに駐車場のシャッターが自動的に開いた。
そして駐車スペースには既に二台の外国産のお車が…

そこへ氷メガネの外車をいれて、なんと計三台！

なんかほんとに場違いとはこの事だわ…。
あたしは車を見ただけですでに気後れしていた。

氷メガネについて車から降り玄関ドアの前に行くと、中から開錠するカチャリという音が聞こえ…
ドアの向こうから出てきたのは…

相変わらずキレイな笑顔を張り付けた…
香菜さんだった…。

「いらっしゃい。お久しぶりね、飯田さん」

てっきり氷メガネのご両親か誰かが出てくるだろうと思っていたあたしは、香菜さんが出てきた事に驚きを隠せなかった。

あたしが絶句している横で、氷メガネが香菜さんをにらみつけながら言った。