「とにかく。今日は予定通り決行するの。第一約束してんでしょ?破るわけにはいかないわよ」

そう言ってから着替え終わったたあたしを見て、満足そうに氷メガネは微笑んだ。

「なんか雰囲気違うな。お嬢様っぽい」

狙ったわけじゃないんだけど、一番地味な服を選んできた。
どういうわけか何を着ても派手に見えちゃう。

それがいいような悪いようなだけど、こういう時は確実に悪い方に転ぶ。

ただ、ほんとのあたしを見せるのは間違いないから服で誤魔化すつもりなんてない。
この服を選んだのは、あたしの決心のほどを見せるというか…

気合が入ってる証拠を見せたかっただけ。

「何か手土産いるよね?」

あたしがそう尋ねると、氷メガネは「虎屋の羊羹でいいよ」と即答した。

ゲッ!
羊羮!

よりにもよってなんで羊羮?
他にも甘いモノあるでしょ?

あたし、羊羹ってすっごく苦手。
ただ甘いだけとしか思えない。
どこが美味しいのか意味不明なんだよね。