ハァーッとため息をついて氷メガネはあたしを見た。

「そりゃ…ここんとこ連絡取ってなかったし、不安だったのはわかる。俺も…恥ずかしいけど自分の気持ちを持て余して…余裕が全然なくなっちまって…。お前を安心させてやれなくて…申し訳なかったって思ってる。
けどな、俺がお前一人で戦わせると思うか?
冷静でいられなくなって、言い返そうがどうしようがお前のまんまでいいんだって。
それでヤツらがどう思おうが、それはもう知ったこっちゃない。お前もそれでいいだろ?」

それは勿論。
話をしても無駄なら、やるだけやった後なら、あきらめるつもりだった。

「うん…。全部やりつくして…。それでもダメって言われたら、もう、許してもらえなくても仕方ないって思ってた…」

「けど、俺とお前の気持ちがひとつになってなきゃ言える事も言えなくなる。そう思わねー?」

あたしは声に出さず、ただうなずいた。

「その為には…こうやってお前を抱きしめる時間が必要なんだよ…」

氷メガネはそう言いながらあたしを優しく抱きしめた。
涙腺が信じられないくらい緩くなっているあたしは、すぐに涙が出て来て。
ほんとによくこれだけ製造できますね、ってほど次から次と流れては落ちる。

「相変わらず、尚美は泣き虫だな…」