「それで確認したら一目瞭然、俺ってわかんだろ?それなのに、なんであんなクイズみたいな事しなきゃいけねーんだよ。ほんっとにお前はバカだな」


だって…ホテルって久しぶりだし…
焦ってたからそこまで思いつかなかったんだもん…。
あたしは言い返しもせずうなだれた。

「…尚美…。それは…もういい。けどな、なんでお前、今日来るって言わねーんだよ?明日って言ってたよな?晴彦が、"今夜は久しぶりの再会だな"ってメールくれてさ。どんだけ俺がビビったか、お前にわかるか?」

それは…
だってあたしにも、そうした理由があるんだし…

「お前、俺に会いに来たんじゃねーの?確かに親に会うって目的はあるにしてもさ。けどお前、俺に黙って今日から来てどーするつもりだったんだよ?」

「それは…なんていうか…。一人で考えたかったの…」

「考えるって何を?」

「何って…。アンタの親にどう話そうかと…。あたしの色んな事情をね…。アンタに会ったら…それどころじゃなくなっちゃうじゃない?だからまずは一人で…考えてみようかなって…」

あたしは正直に自分の想いを氷メガネに告げた。

最初はいかにも"怒ってます!"って感じの表情も、あたしの話で少しだけマシになったように見えた。