「まだ詳しい事は母さんにもわかんないの。
あたしもご両親に会わせてくれとは、言ったんだけど…アイツがどうすんのか…。まだ何も言って来ないし。アンタには何か連絡あったの？毎日メールしてんでしょ？」

「それが…ここんとこ、敏生さんからは来ねーんだ…。俺が聞いた事には答えてくれんだけど…」

それって…あたしの事は何も聞いて来ないって事…？

「そっか…。さすがに…嫌われちゃった、かな…？」

言いながら落ち込む。
さっきまであきらめないって思ってたクセに、氷メガネの様子を聞いただけでこんなにもすぐに弱気になって…。

何が打たれ強くなったよ…。
全然弱いまんまじゃないの！

「母さん…。不安は、わかる。けど俺も、母さんの言う通り、ちゃんと話はしないといけないって思う。それは逃げちゃダメな…気、する…」

「そう…だよね…？やっぱりそう…思うよね？」

静かにうなずく晴彦を見て、あたしはもう迷わないと決める。
とにかくモヤモヤしたままで毎日過ごすなんてイヤ。
性に合わない。

あたしは氷メガネに、連絡が欲しいとだけメールした。

氷メガネから電話がかかったのはもう日付が変わってからだった。
あたしは待ちに待った連絡に嬉しさよりも先に緊張が走った。

「はい…。もしもし…」

『俺』

「…うん…」

その後の会話が続かず気まずい沈黙が二人の間に流れる。

こんな事やってる場合じゃない！
あたしは自分を奮い立たせて話し始めた。