氷メガネはあたしが言った事がよほど堪えたのか、じっくり考えてみると言って翌日の飛行機で東京へ戻った。

本当はもっと一緒にいたかったのは間違いなかったけど、お互いに気にかかる事があるのにそれを見ない振りはできない。

あたし達は二人とも、そういう性格だから。
白黒つけなきゃいけない性格。
うやむやなままではいられない性格。
やっかいな性格だわ、ほんとに…。

適当に生きる事ができれば幸せなのかもしれない。
見えていても見えないふりをしたり、思ってる事があっても言わないでいられたら、もっと楽な人生だったかもしれない。

でもそれができないから…
ううん。
できないのがあたし達なんだ。

氷メガネが東京に戻り、年末年始の休みが終わって初仕事に出てから何日も経った。

氷メガネは何も言ってこない。
メールすら…
くれない。

だったらあたしからすればいいんだけど。
意地を張って、というより何を言っていいのか正直わからなかった。

そうだ…
晴彦に…
いい機会だから話をしてみようか…。

進学の事も…
アイツに相談してた内容をあたしだって知りたい。
そう思ったあたしは晴彦に何時くらいに戻るのかをメールで尋ねた。

『今日は六時頃に帰る』

一言だけの短いメール。
もしかしたら晴彦もあたしの意図を理解してくれたのかもしれない…。