どのくらい時間が経ったのか、気づくと狭いベッドで縮こまって身をよせあっていた。

風邪引いちゃう…。
氷メガネが心配になったあたしは、ベッドから飛び出し適当な部屋着を来て晴彦の部屋に行った。
まだ帰っていないのをいい事に、あたしは晴彦のクローゼットから適当な服を見繕い持ち出した。

部屋に戻ると氷メガネは上半身裸のままでベッドの上で座っていた。

「ちょっと!なんか着なさいよ!風邪引いちゃうじゃない!」

あたしはそう言って駆け寄ると無理矢理晴彦の服を被せた。

「何、必死になってんだよ」

氷メガネがメガネを外したままの瞳を優しく細める。
それだけで、あたしの心臓は簡単に鼓動を早まらせ…
年甲斐もなく照れてしまう…。

「だって…風邪とか引いて仕事休まなきゃいけなくなったら…、大変でしょ?」

恥ずかしさを隠して氷メガネの方を見ずに言った。

「なんで?」

なんで?
ったく、なんでとか言うか?
あたしがこんなに気を遣ってるっていうのに!

「なんでって…だって普通そうでしょ…?」

「だから、普通ってなんだよ?」