「ヤバい…。かわいすぎ…」

氷メガネは今までにはない余裕のなさであたしを貪るように求めた。
あたしも同じくらいの余裕のなさで何も考えられず、彼に全てを任せた。

久しぶりの温もりは、いつまでも離れられない媚薬のように…
あたしの荒みかけた心を温かく溶かしていく。

離れてみて実感した空虚な気持ちが。
傍にいるだけでどんどん満たされて、自分の本来の姿を取り戻せる。

あたしはコイツといてこそ、あたしなんだと心底思う。
こんなにも激しく熱く思いを迸らせる事が出来るただ一人の男。
心から愛しいと思える男。

離婚してからのあたしの人生で、そんな男に出逢えるなんて思わなかった。
この年になって出逢える事も、想像すら出来なかった。

でも出逢ってしまった。
そしてあたし以上にコイツも熱く激しくあたしを愛してくれて…
女として生まれて、それ以上の歓びがあるだろうか。

何があってもコイツとは離れたくない。
これから先、どんな未来が待っていようと。
過酷な運命であろうと、あたしの決意は変わらない。

何がなんでも抗って、そして必ず勝利を収めてみせる。

あたしが愛するただ一人の男の為に…