とりあえずあたしのアパートへ向かう。
ここ何日か留守にしてたし、いつもみたいに家の中が散らかってるだろうと思ったが、台所と居間はキレイに片付いていた。

もしかして晴彦が？
けどアイツがなんで？
立ったまま考えていると氷メガネがあたしを呼んだ。

「尚美？荷物は、お前の部屋に持ってけばいいか？」

あ、そうだよね！
持たせたまんまだった！
あたしは慌てて自分の部屋まで行ってドアを開けた。

その瞬間…
あたしの動きがピタッと止まる。

さすがにここは晴彦も掃除してないわな…。
思った通り散らかりまくった部屋のドアを慌てて閉じようとすると、氷メガネがとめた。

「なんだ？見られるとマズイもんでもあんのか？」

だって、信じられないくらい汚ないんです！！
とてもアナタには耐えられないと思いますから！！

「い、いや…あの、そうじゃなくて…」

あたしが口ごもっていると、氷メガネは強引にドアを開けた。

あー…
開けちゃった…。

氷メガネはしばし立ち尽くしたまま…

「あの、これはね、いつもはちゃんとやってるんだけど、たまたま忙しくって…」

あたしは苦し紛れに言い訳をした。

「ハタキと掃除機」

はっ！？
今、なんとおっしゃいました？