所長を庇った発言をしたあたしに氷メガネが食いつく。

「だいたい、なんですぐ俺に連絡しねーんだよ!?晴彦くんが連絡くれなかったら、俺は何にも知らねーままだったんだぞ!?」

晴彦が…
コイツに連絡したんだ…。
なんでそんな余計な事。
忙しいコイツにだけは黙ってようと思ってたのに…。

「だって…連絡したら…来ちゃうじゃない…。今、みたいに…」

「当たり前だ!来るに決まってるだろ!」

「大した事ないのに…。仕事休ませたく、ないじゃない…」

あたしはうつむいて、そう言った。

「バカか?お前は?仕事より、お前の方が大切に決まってんだろ?」

「……!」

ほんと、コイツは…
どうしてこう…
あたしの欲しい言葉をサラッと言っちゃうかな…。

そしてあたしは毎度おなじみだが、言葉より先に涙を流してしまった。
氷メガネはそんなあたしを優しく包み込みながら言った。

「けど、会えたから…もう…いい。顔見れただけで…充分だ…」

幸せな気持ちに浸っていると、「コホン」と小さな咳払いが聞こえた。