「何から何まで…ごめんね…」

「そんな事気にしない!それに事故処理は代理店やってるあたしたちの仕事じゃんか!あ、それとね、申し訳ないけど福富トレーナーに言ったわよ、事故の事」

「え?なんで?」

「だって、晴彦くんの連絡先がわかんないんだもん。で、トレーナーに聞いて、息子さんから晴彦くんに伝えてもらったから」

「そうなんだ…。そこまで気をまわしてもらって、ごめんね…」

するとドアをノックする音が聞こえ、返事をすると矢部所長が入ってきた。

「所長!!」

あたしと麻美は同時に声をあげた。

「飯田さん、大丈夫?大変だったね…」

「所長…わざわざI市からここまで…遠いのにスミマセン…」

「そんな事気にしないで!それよりさっきナースステーションで聞いたけど、心配ないって?よかった…もう、大ケガとかしてたらどうしようかと思ったよ…。グループ長に知られたら、僕、何されるかわかんないから…」

所長が言いかけた所で麻美が割って入る。

「ちょっと、ちょっと待って下さい!所長、尚美と氷、いえあの、伊藤グループ長の事、ご存じなんですか!?」

「え?ああ…まあ、ね…。ちょっと小耳にはさんだというか…」

しどろもどろに答える所長に麻美は更に突っ込みを入れる。

「小耳にはさむって…。そんなはずないですよ!尚美とグループ長の事は噂にもなってないはずですから!一体誰から聞いたんですか!?」

麻美は所長を激しく責め立てた。