しばらく動けずにいると、どこかの知らないおばさんが慌てた様子で車の窓ガラスを叩いていたが、あたしはそのまま意識を失ってしまった。

気付いた時は病院のベッドの上で。
あたしは現状をなかなか把握できずにいた。
慌てて動くと、腕に射された点滴の針がチクリと痛んだ。

ナースコールをしてみようかと考えたが、具合が悪い時しか呼んではいけないような気がして、やめた。
何もする事ができずにただベッドに寝そべっていると、看護師が入ってきた。

「あ、気がつかれましたね～」

あたしに近づき、血圧やら体温などをチェックしてから気分がどうかと聞かれた。

「はい…。なんとも、ない、とは…思うんですけど…」

「一応、先生に診察してもらってOKが出たら、なんですけど…。実はね、警察の方が事情聴取したいって言ってるんですよ…」

あ…そっか…。
あたし事故って…そのまま…
なんとなく虚ろには記憶があるような気もするけど…。