所長はそんな心配は必要ないと言って笑い飛ばしてたけど、そういうアナタが一番当てにならないから。
とにかく不安要素はひとつでも少ないに越した事はない。
ほんとに、氷メガネの尻拭いするのも大変だわ。

あたしは資料室から適当な段ボールを選んで持ちながら、やれやれとため息をつく。

さて、お次はアイツをどうやって宥めるかなんだけど…
なんせケンカ中で電話するわけにもいかず。

とりあえず今、アイツが所長以外の誰かに牙をむく事はないだろうからちょっと様子をみるしかないか…。

年末の挨拶まわりで渡す来年のカレンダーを少し多めに紙袋に入れ、あたしは今日行く予定の顧客を確認する。
今日はM市の顧客をできる限りまわるつもり。
あらかじめアポをとっている所もあれば、そうでない所もある。
カレンダーを渡して挨拶するだけだから、突然行ってもさほどイヤな顔はされない。
だからあたし達営業にとってこの年末はすごく貴重で有り難かった。