「…んー…。まぁあの人も母さんの事になると必死っつーかさ。子供みたいなとこ、あるからな。けど、そのままにはしねーと思うよ。会いたいのはあの人だっておんなじわけだし?」

よく、おわかりで…
アンタ、恋愛相談の仕事でもできそうだよ…。

「そう、だと…いいけどね…」

あたしはうつむいたまま晴彦にそう言った。

「とにかく、信じてろって。俺にはこれしか言えねー」

晴彦はそう言って携帯をいじりながら玄関を出て行った。

ほんとに晴彦の言う通りだ。
今のあたしには氷メガネを信じる他に道はないのに。
あたしは気合を入れ直し仕事に出かけた。

営業所に入ると何やらガヤガヤと騒がしい。
所長のデスクのまわりに職員が集まってるみたいだけど…?

あたしはみんなが集まっている所長のデスクの方へ近づく。
所長のデスクの上にはたくさんの画用紙が置いてあった。
その画用紙には、何やら絵が描いてあるような…?

「あ!飯田さん!おはようございます!これ、飯田さんのでーす!」

飯田さんのでーす、じゃないわよ…。
所長、アンタこの忙しい年末に一体何やってんのよ…。