『わかった。もういい』

え?
何よ…もう、いいって…。

「ちょっと、どういう事よ?もういいって、何よ?」

あたしがしゃべっている途中で氷メガネは電話を切った。

ちょっとーーー!
いい加減にしなさいよーーー!!

すぐにかけ直しても留守電に切り替わる。

コイツは…
ただの駄々っ子じゃないよ!

いいわよ!
アンタがその気ならあたしだってもう知らないんだから!

あたしはドアを大きな音で開けて台所に出た。
晴彦が驚いた顔であたしの方を見ている。

「何だよ、朝っぱらからデケー声出して。ケンカか?」

晴彦がからかうように言った言葉にカチンと来た。

「大体、なんでアンタは昨日遅かったの?メールは?見なかったの?」

「あー…。悪い。昨日は一平のとこで勉強してた」

一平とは福富トレーナーの息子。
晴彦とは同じクラスで仲がいい。

「そう…なんだ。あ、そういえば、アンタ、アイツからなんか言われたでしょ?」

「ん?あ、あれか?正月に東京に行くってヤツ?」

やっぱり晴彦には連絡してたんだね…
あのヤロー…