わかる、わかる。
確かにうちの会社の男どもは、みんな高学歴だからね。
勘違いしてるヤツ多いんだよ。

あたしも知ってるよ、その中でも断トツにヤバいヤツを…

「そっか…。ヤなヤツだね…。今日は思いっきりにらみつけとくわ」

あたしがそう言うと、二人は慌てて止めた。

「そんな!飯田さんがそんな事したら、所長が変な事するかもしれないから、ダメだよ!何もしないでよ!」

必死になってる二人の姿がおかしい。
あたしの事を心配してくれてるのが純粋に嬉しかった。

「わかった…。何もしないよ。でも、うちの会社の男ってロクなのいないよね…。ほんと最悪なのばっか…」

呟くように言ったあたしに、富美子が食いついてきた。

「え?飯田さんのとこの所長も、うちとおんなじなの?」

「あ…。違うよ、うちの所長は熱血で、すごくいい人だよ。自分が盾になってあたしたち営業職員を守ってくれてるから」

「そうなんだ…。うらやましいな…。え、じゃあ…誰の事…?」

しまった…。
あたしが変に先入観を植え付けちゃマズかった…。

「う…ん。今は、もう異動になって…いないんだよね…」

苦し紛れに嘘をついた。
でも富美子はあたしのそんな嘘を信じてくれたようでそれ以上は何も質問してこなかった。