ダメダメ…
たった二週間連絡がないってくらいで、何落ち込んでんのよ!
こんな事くらい覚悟できてたはずでしょ!

あたしは自分に言い聞かせる。

そして出来上がったシチューをお皿によそいながら晴彦の携帯にメールを入れた。

『晴彦、今日は遅くなるの?』

少し待ってみたけど返信はなかった。
あたしは仕方なく自分だけ先に食事を始めた。
ほんとに一人の食事は余計に味気ない。
なんだか全部食べる気がせずにあたしは途中で食べるのをやめた。

そしてお風呂に入り、早々に布団にもぐりこんだ。

『ブーンブーンブーン…』

静まり返った部屋で響く携帯の震える音があたしの睡眠を妨害する。

「うん…ん…何よ…こんな時間に…」

寝ぼけ眼で枕元の携帯に手を伸ばす。
うっすら開けたあたしの目に飛び込んできたのは…

会いたくて仕方のない人の名前…
伊藤敏生…

「もっ、もしもし!!」

『フッ…なんだよ、そんなに慌てて…』

氷メガネの…声…だ…。
あたしは嬉しすぎて涙が溢れた。

『尚美?どしたんだ?』

「あ…ごめん…なんか…声聞いたの、久しぶり…だったから…」

あたしは泣いている事がバレないよう、普通にしゃべろうと必死になった。