それでもやっぱり冬の海は寒い。
肌寒さを感じたあたしは車に戻った。
バッグからチラリと見えた携帯が光っている。
見ると氷メガネからの着信履歴だった。
時間を確認するとまだそんなに経っていない。
あたしはすぐに折り返す。
すると何度聞いても飽きる事のない声が、無機質な機械の向こうから聞こえてきた。
『尚美、今仕事中か?』
「ううん…。今日は、早退しちゃった…」
『どしたんだ?具合でも、悪いのか?』
心配してくれている様子が電話の声だけでも伝わってくる…。
こんな些細な事にも喜びを感じている自分。
「…ううん、そうじゃ、ないの。なんとなくね…。気分が乗らなくって」
咄嗟に口から出た苦し紛れの理由なんて、コイツには通用しない。
氷メガネはすぐに本当の理由がわかったようだった。
『見たのか…』
「え?」
『異動の事務連絡』
「あ…。うん…。バカみたいでしょ。見なくたってわかってたのにね。今さら動揺したって、どうしようも、ないのに…」
言いながら涙が頬を伝う…。
あたしは泣いている事が氷メガネに伝わらないよう、無理をして気丈に話した。
「どうしたの?」
『…………』
氷メガネが黙ってしまい、あたしは急に不安になった。
肌寒さを感じたあたしは車に戻った。
バッグからチラリと見えた携帯が光っている。
見ると氷メガネからの着信履歴だった。
時間を確認するとまだそんなに経っていない。
あたしはすぐに折り返す。
すると何度聞いても飽きる事のない声が、無機質な機械の向こうから聞こえてきた。
『尚美、今仕事中か?』
「ううん…。今日は、早退しちゃった…」
『どしたんだ?具合でも、悪いのか?』
心配してくれている様子が電話の声だけでも伝わってくる…。
こんな些細な事にも喜びを感じている自分。
「…ううん、そうじゃ、ないの。なんとなくね…。気分が乗らなくって」
咄嗟に口から出た苦し紛れの理由なんて、コイツには通用しない。
氷メガネはすぐに本当の理由がわかったようだった。
『見たのか…』
「え?」
『異動の事務連絡』
「あ…。うん…。バカみたいでしょ。見なくたってわかってたのにね。今さら動揺したって、どうしようも、ないのに…」
言いながら涙が頬を伝う…。
あたしは泣いている事が氷メガネに伝わらないよう、無理をして気丈に話した。
「どうしたの?」
『…………』
氷メガネが黙ってしまい、あたしは急に不安になった。