氷メガネの言った言葉はあたしの神経の繊細な部分に引っ掛かった。

違う…。
言いたくないんじゃない。
確かに結婚に失敗したのはあたしにも責任はあるけど…

ううん。
責任があるからこそ、自分の過去から逃げちゃいけない。

そしてそれを隠すのも…
しちゃ、いけない…。
正々堂々とあたしという人間を見せていかなきゃいけないと思う。

「あたし、それはヤダ。自分の人生を否定してるみたいじゃない」

あたしがそう言うと氷メガネは急に顔を曇らせた。

「ごめん…。ほんとサイテーだな、俺…」

そして真摯な態度であたしに頭を下げて謝ってきた。

きっと氷メガネはあたしの思いに気づいてくれたんだ…。
隠す事は自分の人生を恥じている証拠。
あたしの人生が恥ずかしいと言ってしまったようなモノだから…。

だけど親が結婚相手の素性を知りたいのは当然だし、初婚である我が子がそんな条件の女を連れて来たらビックリするに決まってる。

「そんな事、ないよ…。普通の親なら気にするの、当たり前だから…」

「けどもし、そんな事で尚美を侮辱するなら、俺は親子の縁を切るまでだ」

そんな…事…
しちゃいけないよ…。
あたしはそんな事して欲しくない…。

「ダメよ…。それは…。親はいつまでたったって、親なのよ?」