だけど…
コイツのこういうおバカな所はあたしにだけ見せてくれる特別な姿…。

そう思うと子供みたいで可愛いと思ってしまう。

こんなおバカなコイツも…
嫌いじゃないのよね…。

チラリと氷メガネの顔を見上げると、あたしの言葉を期待満々に待っているのがわかるような表情をしていて。
あたしはちょっと意地悪をしてやりたくなった。

「伊藤さん」

「あ?お前、何言ってんだよっ!ふざけんなって!」

「別にふざけてないし。伊藤もアンタの名前じゃないよ」

「このヤロー!もう許さねー!今すぐ罰を与える!」

氷メガネはそう言ったかと思うと素早くあたしをその場に押し倒した。

「ちょっと!待ってってば!痛いし冷たいんだけど!」

あたしが叫ぶと氷メガネはスッとあたしの上から体をどけた。

「じゃ、行くか」

「行くって…?」

「決まってんだろ」

氷メガネはそう言ってあたしの腕を掴んで立たせるとそのまま寝室へ連れて行った。

いつものようにベッドへ放り投げられたあたしは、どうしてもこのままなし崩し的に抱かれるのは納得がいかなくて。

「ちょっと…、ちょっと待って!」

「車と俺様は急には止まれねーぞ?」

自分で言う?
俺様って…
確かにその通りだけど…。

「けど!どうしても聞きたい事があるの!」