「そりゃそーでしょーよ!アンタが決めてアンタの都合のいいようにしてるんだからねっ!アンタ、あたしの気持ちなんて全然わかってないじゃない!あたしがどれだけ…不安なのか…」

氷メガネはあたしが全てを話し終わらないうちに再びあたしをギュッと抱きしめた。

「ごめん…わかってんだって、ほんとは…。ただ…香菜の事も両親の事も…お前が考えても仕方ねーだろ?アイツらをよくわかってる俺がなんとかすっから。とにかくお前は俺の事だけ信じててくれればいーんだよ…」

それは…
信じてるけど…やっぱり…
不安はどうしたって百パーセント消えるもんじゃないわよ…。

「信じたいし、信じてるけど…。あんな風にいきなり来られたら…不安になる…。それにいつもアンタに会えるわけじゃないし…」

「だーかーらー!会えない時間を埋める為にこうやって2人っきりで濃密に過ごさなきゃいけねーんじゃねーか!そうやって確かめ合って行くモンじゃねーのか?」

「そう…だけど…」

「だろ?わかったらホラ、言ってみ。俺の名前」

結局うまくコイツのペースにハメられたような気がするなぁ…。

あたしは恥ずかしさを押し殺して、どもりながら言った。

「と…敏…生…」

「聞こえねーな。も一回」

「えぇー、もういいじゃない!」

「ダメ。そんなんじゃ全然萌えねーの」

なんだ、それ!
コイツはほんとにもぅ…

深刻な話を忘れてしまうくらい、おバカな氷メガネに呆れる。